金福 路地に佇むハート&マインドな謎の定食屋

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金福には昼の部と夜の部がある。

まず昼の部。

各種定食が650円、ご飯おかわり自由。と言っても最初から結構な量で盛られているので、よほど腹が減っていないとおかわりはしたことがない。

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これはもつ焼き定食。ご飯がすすむほどよい味付けで困る。つい食べ過ぎるから。

昼の部の注意は開店とほぼ同時にお客さんが入り、ジャスト昼に行くと一杯なことが多い。そのくらい賑わっているのだ。たぶん近所の金融機関の営業の方、郵便関係の方、その他近隣にお住まい、あるいはお勤めの方など。皆、モクモクと食べてさっと帰る。

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このお新香は追加注文したもの、とても美味しい

ちなみに金福は昼から呑める。昼を食べに行くとすでにカウンターに陣取り、でっかい焼酎のキープボトルをドンと置いて楽しそうに呑んでいる姿をよく見かける。羨ましいかぎりである。昼の部終了はだいたい2時くらい、くらいというのはなんとなく早く暖簾を仕舞っちゃうときもあるから。

混んでいるのを避けるなら早めに行くか、ちょい遅めに行くのがいいと思います。

そして夜の部。

ガラッと入ると周りと目が合う、なんとなく目と目で挨拶を交わして席へ着く。

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定食メニューももちろんあるのだけど、ホワイトボードに書かれたメニューを見ながら、あれやこれやとつまむのが愉しい。皆めいめいに自分のお気に入りをやっている。カウンターと厨房では会話が弾み乾杯をしている。賑やかに女子会が開催されていることが多い。一人飲み女子もよく見かける。それらの音に包まれつつ、ひとしきり呑んで帰ろうとすると周りから声がかかる。

「あれっ、帰っちゃうの?」
「お先でーす。」
「気をつけて!」
「はーい。」

顔見知りというほどでもないのだが、なんとなく親近感をみんな持っていて、呑んでいるときはほっといてくれ、会計をするとこうやって一言二言交わして行くのが、ここのお客さんの特徴みたい。

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この日はレモンハイからはじめる

仕事でロンドンに長期滞在していた時、滞在先の近くにあるパブに毎日通っていたことがある。

イギリスのパブ文化というのはなんとなくよそ者が入りにくい雰囲気があって、いつもカウンターに立って生ぬるいビールを飲みつつ、つまみを食べてお腹いっぱい、晩御飯はこれでオシマイという日々を送っていた。

ある時、ロンドンからブリュッセルへ出張が入り、出張先から出張というのも変な話だけど、2週間ほどロンドンを離れていた。ブリュッセルでの仕事を終わらせ、ひさしぶりに例のパブへ足を運ぶとなにも言わないのにいつものエールがドンと置かれた。カウンター越しにニコリとも笑ったところを見たことがない大将に「どうしていたんだ?みんな気にしていたぞ!」と言われた。「えっ?」実はかくかくしかじか、ちょっと出張へ出てまして云々、、、と説明すると、「おつかれさん」とキドニー・プディングの皿を出してくれた。

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セロリともつ煮、もつ煮はかなりな大判振舞

見てないようで見ている、覚えてないようで知っている、冷たくなくて優しい、なんとなく居心地の良い空間、金福とロンドンのパブは心あたたまるコミュニケーション・スペース、暮らしやすく住みやすい、本八幡民のエッセンシャルな民度が感じられる、そんな店です。

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めひかりの唐揚げがあったので食べてみる

実は最初、金福を見つけた時、入れませんでした。

だって、やってんだか、やってないんだかわかんない雰囲気なんです。でも昼時は店の前にバイクやら自転車が大量に停まっている。1Q3の親方とも話していたのだけど、「あそこって入るの勇気いりますよね。」という雰囲気なのです。静かに路地に佇み、やってない雰囲気を醸し出しながら、近くに寄るとなんとなく中から音がする。意を決して暖簾をくぐると、人がいっぱい。なんじゃここは?という定食屋です。

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ポークソテー、にんにくが効いていてとても旨い

ちなみに近所には出前もやられているそうです。あと、お弁当の注文も多いみたい。

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昼時になると集まってくる仲間たち
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いつも微妙に違う、その日のメニュー
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昼の部も夜の部も常にご飯はおかわり自由