Yajikko KITCHEN(ヤジッコキッチン) 本八幡のEAST END

妻とそのけたたましい仲間たちが拙宅で寄り合いを催しているときにその名は何度も耳にしていました。曰く「おいしいよねぇ〜♡」「そうそう!」みたいな情報が嫌でも聞こえてきちゃう。しかし。行ってみようと思いつつもなかかなチャンスが訪れない。そんな矢先ニューポロイチで発見したのですが、そのときはこんな感じでした。

ちょっと待ってみましたが、全然帰ってこないでやんの。。。まあ、そういう時は無理をせず、次のチャンスを待とう、と、いうのが身の処し方。

で、たまさか昼時にこっちにいたときランチに行ってみました。その時お願いしたのが発酵スペシャルプレートというやつ。たまたまこの時、エドロックティーを着ていたのでカウンターの中の方から話しかけられ、夜もやってます、でも22時までね、というシルクの下着で育った女の子の門限みたいな情報を得たわけです。

日祝がお休みで夜は早い。このなかなかイケないという感じがより一層の深い渇きを覚えさせるわけです。

そしてついに。

最初はなんとなく、のどが渇いていたのでビール。で、次はなにをしようかなと想いを馳せていると見つけちゃったのがリーデルのグラス。ぐふふ。このグラスで飲ませてくれるところなんてそうないです。だから次はグラスありきでカヴァを。

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料理は三種の肉盛りセットというのをお願いしました。サーブする際に説明をしてくれるのですが、その時の雰囲気が我儘な王女のような瞳の輝きと、それを打ち消す真剣な知性の重みを感じさせるまなざしでした。

時間は経過し、変化していく時の中でのパースペクティブ。つまり、女性が一人もいなくなり今現在、この空間にいるのは我々男三人だけ。なんとなく目と目で通じ合うみたいな空気があり、あとは推して知るべし男同士のバカ話に花が咲くわけです。

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お腹が空いたので薬膳カレーをいただき、ふと後ろを見ると漂う空間。

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ドライフラワーとエプロン、現代アートの関係がおもしろいなあと眺めていました。

こういう現代アートの面白さって、作者がつくったゲームのルールに想像を巡らせ、コンテクストを見つけていくっていうのが鑑賞の楽しさの一つだと思っています。ちなみにこの絵を描かれたのは“HAYASHI MARIKO”さんという方だそうです。

ドライフラワーもこんなにうまくできるんですね。藤田嗣治(レオナール・フジタ)が“生きていたときに美しいものは死んでからも美しいんだ”っていうコンセプトで枯れた花を描いた時がありましたが、このドライフラワーを眺めていて思い出しました。アーヴィング・ペンっていう写真家が“FLOWERS”っていう写真集でやっていたのとは対称ですね。

Yajikko KITCHENで感じた凄さは、ホームページとその写真、お店の佇まいと内装、料理の表現のトーンが全部揃っているところです。これはプロにやってもらってもなかなか難しいと思います。信念とそれを表現として定着させる技術がないとできないことだと思います。

レナード・バーンスタインという指揮の方がいるのですが、その人の音楽へのアプローチが「細部を追求して全体を浮かび上がらせる」というものだと理解しているのですが、そういう手法なのかなっていろいろと考えちゃいました。一方、カラヤンはグランドデザインをきっちりつくってから、それをオケに再現させていたように思います。

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本八幡のこの辺り、サブカルっぽい空気もあるよね、と、以前にわとりトラックのマスターと話していたのですが、東の果てのゲートキーパーな感じでしょうか。

ちなみにこの日のメンズトークの宿題は「なぜ、女はワンピースを試着するとクルクルと廻るのか?」というものでした。

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呑んだあとに味噌汁をいただいたのですが、例えて言うと、天ぷらを食べに行って締めはかき揚げとご飯というときに添えてある漬物っていう感じです。つまり別れ際の身の振る舞いが美しい女ってことです。こんなことされたら、また行きたくなってしまう。

Yajikko KITCHENホームページ