秩序は離れて見る場合にのみ存在する、ヴェネチア。
ヴェネチアは湾にできた潟の上に大量の杭を打って築かれた都市です。それが水の都と言われる所以なのですが。なので内部はクルマでは入れず、水上バスやゴンドラで人や物の移動を行っています。クルマでの移動ができないので要人の警護も難しく、ヴェネチアへは訪問ができないということもあります。
もし、ヴェネチアへ行く機会があるなら夕刻に海から船で入るのが雰囲気があっていいです。大した船じゃないのですが、陽の傾きとともにヴェネチア本島が近づいてきて、なかなかにロマンチックな風景です。
深夜のサンマルコ広場。昼間は観光客でごった返しますが、夜はご覧の通り、ダダッ広い。
観光名所の一つ、リアルト橋。
ヴェネチアは水路が交通網なので至るところに橋があるのですが、これはテッテ橋と呼ばれている橋。テッテとは女性の乳房のこと。
かつてヴェネチアではファッションから男色が流行り、国民が減ることを危惧した政府が公金で同性愛疑惑の娼婦をここへ立たせ、立った娼婦がおっぱいを見せたり、股を広げて見せたりしていた場所。そして政府は娼婦からの税収で国の運営を賄っていた。
テッテ以外にセーノもおっぱいという意味。イタリア人が日本へ来て「いっせーのっせっ」とか言っているのを聞くと苦笑する。
なにしろ水の上の都市なので湿気がすごい。ホテルは空調は効いていてもベッドや布団は湿っぽい。そして蚊がいるのだけど、これがでかくて、たいてい三匹ワンセットでこちらめがけて飛んでくる。刺されるとかなりかゆい。
早朝。ゴンドラの掃除をするゴンドリエーレ(ゴンドラのオーナー兼運転手)。ヴェネチアではゴンドリエーレの数に制限を設けており、誰でもすぐになれるわけではないらしい。この間、はじめて女性の漕手が現れたそうで、彼女は女性なのでゴンドリエーラという。
ヴェネチアは漁港の町でもある。海鮮が美味しいのだけど、イカスミスパゲッティも名物の一つ。ぼくはイカスミスパゲッティが大好きなので、滞在中は毎昼食べていた、の、だけど、サイゼリアのイカ墨が一番好きだ。
船でリド島まで行ってみる。夏を過ぎているのだけど、海水浴を楽しむ人達で賑わっていた。
リド島から戻ってきて、そろそろお腹が空く時間。昼間のサンマルコ広場でお昼。生演奏は一日中やっている。
昼間の喧騒はピッタリと止んで静かに朝を迎える。
海産物だけでなく野菜や果物も美味しくて安い。
フェニーチェ劇場でオペラ ラ・トラヴィアータ(道を踏み外した女)を観る。
観光地とはいえ一歩裏に入ると生活がある。
日用品もご覧の通り。
ショコラテリア(チョコレート専門店)のできたてチョコ。欲しいだけ手で大きさを作って買う。
せっかくなのでゴンドラに乗る。料金は時間と周遊する距離で決まる。乗るときに値段を言われるので好みのタイプを選ぶ。貸し切って女とシャンペン、バンドを積み込み、ゴンドラで遊ぶ人達もいる。彼が着ているのはゴンドリエーレの制服。
ゴンドラ遊びで疲れたので一服。ヴェネチアは白ワインが美味い。どこで飲んでもコクのあるスッキリとした美味しい白ワインを飲ませてくれる。ちなみなヴェネチアでは白ワインのことをオンブラ(影)と言う。その昔、日差しが強いのでバラソルを広げてワインを売っていたのだけど、そのパラソルがつくる影を称してオンブラというようになったらしい。
夜明け。
ちょうどヴェネチア・ビエンナーレの時期でした。
ヴェネチアといえばこれは外せない、ベニスに死す。監督はあのルキノ・ヴィスコンティ。ヴィスコンティ監督、貴族の出なのですが、当時、創業間もないルイ・ヴィトンのカバンを愛用しててたそうです。その頃はヴィントも知名度がなかったので、それを見た人たちは「さすが貴族の出、カバンにまで自分のイニシャルを入れている」と言ったそうな。
ヴェネチアが水の上に浮いていることが、この映画を観るとよくわかります。
そしてヴェネチアといえばこの曲、と、有名なマーラーの5番。略してマラ5。映画、ベニスに死すで延々と流れていました。