秋に一人で行きたくない街、パリ。
モロッコからの帰り、パリで乗り継ぎだったので、そのまま学生時代の友達に会いに行ってみた。チケットはストップオーバーをつけておいたので空港から街へと出る。
シャルル・ド・ゴールからパリの街まではとても行きづらい。というのは、バリアフリーじゃないので、でっかいキャリーケースを持っていると階段の上り下り、地下鉄への乗り換え、駅についてからまた階段と、これでもかというくらい段差のある道を歩かされる。だから空港からはいつもタクシー。おおよそ50ユーロくらい。
明け方、パリの街をウロウロしていると、ちょうど日本からエールフランスの直行便が空港の営業開始とともに着陸して、空港からの人々がバリに着く頃。で、日本人の男女の対がケンカをしているのをしばしば見かける。そりゃそーだよね、12時間かけて成田から飛んできて、ヘロヘロになってパリの街まで着いたものの、今度はホテルの場所がわからない。道を訪ねようにも人はあんましいない。で、キレる、と。
とりあえず宿にチェックインしてコンビニで買ったビールを飲んで一休み。モロッコは摂氏50度近い気温だったけどパリはもう肌寒い。季節は9月。
シャワーを浴びてからぷらぷらとルーブルの方まで歩いてみる。今日は空いている、平日だからかな。
腹が減った、そういや朝からなにも食べていなかった。ルーブルのそばのカフェに入り席に座る。ギャルソンがやってきて「中国人か?」「日本人!」といつものヨーロッパでのやり取りをする。「珍しいな、日本人の、それも男が一人でパリか。」「さっき空港で妻と分かれた。」「えっ、そうか、だったら肉だ肉を食え、いま焼いてきてやる。」と頼んでもいないのにステーキが現れる。そしてとても旨い。ヨーロッパの奴らは肉の調理がとても上手だ。
「分かれた」を「別れた」と捉えた彼はやけに気を使ってくれる。なんだか申し訳ないけど、まあ、お互いに母国語でない言葉で話をしているのでこういう齟齬は仕方ない。
食事を終えて、お茶を飲む。エスプレッソがあったのでそれにした。
お腹も満たされたので散歩。セーヌ川まで来てみる。
それにしてもパリは物哀しい。日本だと北海道と同じくらいの緯度なんだけど、体感温度よりも、独特の雰囲気があって、秋のパリは一人で歩くもんじゃない。
友達と待ち合わせをしたレストランまで歩いていくのだけど、どうもよく道がわからん。「ユダヤ料理の旨い店があるからそこを予約しとく。」とのことなんだけど、聞いた番地がそもそもない。
ようやく見つけ、飲んで食って明け方まで騒ぐ。途中から地元の友達が加わり、もはや、何語で話をしているのか誰もわからない。でも、愉しいからいいのだ。
こっちの方、というのは、ヨーロッパということだけど、閉店時間が来ても帰れとは言われない。店の人たちは片付けを始めるけど、帰れとは言われない。客が席を立つまでサーヴィスをしてくれる。もちろんそういうときはチップを多めにするのだけど。
再び宿まで歩いて帰る。もう始発バスが動き始め、街が活気づいてくる。
そろそろ夜明け。明け方の光はどこの国で見ても美しい。
オペラ座の前まで来た。
パリの街をとてもよく描写している本。タイトルからは想像がつかない手に汗握る展開。
そしてパリ、というかフランスのエスプリとグルメっぷりが描かれている映画。ミュンヘン。主人公の料理の拘りがとてもすごい。
パリのメトロ構内で録音されたパリを拠点に活動するシンガーjaSz(ジャス)のアルバム。地下鉄の構内を行き来する雑踏と彼女の音楽が聴いていて心地よい。