ハバナの街で知り合った、ひとりのキューバ人。

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その人の名はジャディアン。
ハバナの街でビシタクシー(バイシクルタクシー)のドライバーをしている。

キューバは共和制の社会主義国なので、どんな職業に就いても給与は一律。
子供の頃から弁護士や医師を目指して勉強し、希望した職業に就いても、お客さんからチップのもらえるタクシードライバーやウエイターなどの職業に転職することが多いらしい。

キューバは就学率と識字率がほぼ100%であり、葉巻、砂糖などの交易品以外に医療、特にワクチンや眼科の技術を輸出していて、また発展途上国へ対して医療支援を行っている、とても立派な国だ。

人口は1.125万人であり、国民1人あたりのGDPは約60万円(※平成25年1月 外務省発表)、面積は本州のほぼ半分。宗教は自由で、ヨーロッパ系25%、混血50%、アフリカ系25%の人口構成となっていて、この星の上で人種差別のない国として知られている。

初等教育までは義務教育を行っていて、国民のほとんどは高等学校まで卒業している。
そして医療と教育は全国民が無料。医師の数は国民165人当たり1人と世界一多いのも特徴である。

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彼と知り合ったのはホテルの前。

たいていホテルの前や街角にはビシタクシーが停まって客引きをしている。
我々はちょうど晩飯を食べようとホテルを出て、ガイドブックで見つけたキューバ料理のレストランへ行こうとしていたとき。

レストランはビエハ広場のそばなのでホテルから歩いても15分くらいなのだが、彼の真摯な目にやられ、思わず乗ってしまった。

それ以来、滞在中は彼の世話になり、夜は毎日、ハバナの街を案内してもらうことになった。
ハバナの街は街灯がほとんど無く、暗いので道がわからず、彼がいてくれてとても助かった。

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ジャディアンの故郷はハバナから飛行機で1時間ほどのオルギン、二十歳になるとても美しい彼女が待っているという。

結婚するの? と訊ねるとまだわからないよ、自分は22歳だしと言っていた。

彼とはなぜか気が合い、ホテルまで送ってもらったあと、道ばたに座り込んでビールを飲み、煙草を吸って四方山話をしていた。

彼はほとんど英語がわからないのでスペイン語をしゃべり、自分はスペイン語がまったくわからないのでイタリア語でしゃべるのだが、なんとなく通じちゃうから不思議。

言葉を理解しているのではなく、お互いの言っていることを“肌で感じる”という表現がぴったりくると思う。

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そして、彼と話しているとドライバー仲間が集まってきて、みんなでワチャワチャと男同士のバカ話をするのはとても楽しかった。

話の途中から彼のボスも加わり、コイツはとても良いヤツなんだよ、よく働くし、と、ずいぶん褒めていた。自分も同じ意見だと言うと、そうだろうと嬉しそうにしていたのがとても印象的だった。

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彼らは地元で稼いだお金を地元で使い、多くの人々にこの国を捨てさせた不安に立ち向かおうとしているのだ。これは戦術というより生き様であり、希望の表明だとおもう。

長い時間を要するかもしれないが、ここにとどまることを選んだ人たちは、いつの日か再生を目にすることになるかもしれない。

初めて彼のタクシーに乗ったあと、食事が終わった頃に向かえに来てくれるというので、だいたい1時間半後くらいかなと告げたのだけど、その時間を大幅にオーバーしてしまい、待っててくれるかな、大丈夫かなとレストランから小走りで待ち合わせ場所に向かうと彼が待っていてくれた。

ハバナを発つ前の晩、彼に別れを告げ、写真を送るからと住所を教えてもらい、かならずまた会おうと約束をした。

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ジャディアンの案内で連れて行ってもらったレストランでロブスターの炊き込みご飯を食べる。とても美味しいし安い。