不安定の #2

またひとつ夜は過ぎて行ったけれど空の上のもっともっと上の宇宙の彼方ではたかがあたしの夜ひとつくらいのものに気を取られてる暇は無いらしくって おまけにあたしの命なんて屁とも思ってはくれなくて 殺してくれさえもしない 夕焼けがとってもきれいだったからあたしは空に向かって負けないようにって大きな声で叫ぼうとしたけれども隣の人に恥ずかしいからやめて代わりに煙草の煙吹きかけてやったわ あんたからかかってくる電話はいつも同じ調子で同じようにまるで世界が壊れるみたいな心細そうな様子であたしを誘うけれど 可愛くって仕方がないよって云ってやろうかとさえ思わせてもくれないし気晴らしに出掛けて行ってみてもやっぱりいつもの通りで 壊せるものなら壊してみなよ殺せるものなら殺してみなよってあたしはいつでも思ってるんだよね 可笑しくってたまらないよ あたしの何が一体欲しいのよ あたしにはあげるものなんて何にもないのに殺す程の命もないのに何が欲しくってそんなに悲しそうな目をしてみせるのさ いいかげんにしたらいかがって時々自棄になったりするけどふふっやっぱりあんたは可愛いね 殺される恐れもないしあたしも殺してみようと思いもしないくらいにただあたしのまわりで半径一メートルもおいた外から眺めて涙してるだけ 少しくらい強い風でも吹いてきたらあたしはすぐにでも飛んで行ってしまうけれど 飛んで行ったところで行く先はどうせたかが知れてるんだよね この地球駆け巡ることができたとしてもここから外へ飛び出すことができない 今夜はおよしよ ちょっとでもあたしに触れたらあんたを殺してしまうよって試しに云ってみようか 少しはこの空気の色変えることができるかもしれない 
 だけど結果は目に見えてるね
あんたは素直にあたしの肩から手をはずしびっくりしたようにあたしを見つめるだけ ごらんよ今日の夕焼けを あんまり赤くってあんたのその目までうさぎみたいに真赤だよ でもそのうち あとほんの少し経ったら 紫色に変わっていって あとは薄暗くなるばかり
  濁りもしないね今日の空は